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BPEとByteレベルBPEの違いを徹底解説

普通のBPEとByteレベルBPEの違いを技術的に比較し、入力単位や設計思想、現代のLLMでの採用背景について詳しく解説します。

通りすがりのラマ🦙
26 April, 2025

はじめに

大規模言語モデル(LLM)や自然言語処理(NLP)では、テキストを適切な単位(トークン)に分割することが不可欠です。
中でも広く使われている手法がBPE(Byte Pair Encoding)ですが、最近ではByteレベルBPEというアプローチも主流になりつつあります。

この記事では、

  • 普通のBPE
  • ByteレベルBPE
    の違いを、技術的に詳しく解説していきます!

普通のBPEとは?

基本アイデア

BPE(Byte Pair Encoding)はもともとデータ圧縮技術から派生したもので、以下の流れでトークンを作ります。

  1. 文字単位でテキストを初期分割
  2. 隣接する文字ペアの頻度をカウント
  3. 最も頻出するペアを結合して、新しいトークンを作成
  4. 語彙数が目標値に到達するまでこのプロセスを繰り返す

例:「lower」「lowest」「widest」

初期状態(文字単位)

l o w e r
l o w e s t
w i d e s t

頻出ペア "lo" → "low" と合体 → "low e r"
さらに "low e" → "lowe" など、どんどん結合していきます。


ByteレベルBPEとは?

基本アイデア

ByteレベルBPE(Byte-Level Byte Pair Encoding)は、入力を文字ではなくバイト列(整数値の列)として扱います。

具体的には:

  1. テキストをUTF-8などのエンコーディングに基づくバイト列に変換
  2. バイト単位でペアを探索して結合
  3. 語彙数が目標に達するまで続行

バイト単位なので、文字種や言語を問わず統一的に処理できるのが大きなメリットです。

例:「low」

UTF-8バイト列に変換すると:

l108
o111
w119

つまり、

[108] [111] [119]

から頻出バイトペアを合成して新しいトークンを作っていきます。


両者の比較表

項目 普通のBPE ByteレベルBPE
入力単位 文字 バイト列
前処理の有無 単語分割、正規化が必要な場合あり 基本的に不要(すべてバイト処理)
言語依存性 あり(特に日本語・中国語などで問題) なし(全言語対応)
エラー耐性 文字化けで破損しやすい バイト単位なので破損に強い
実装の複雑さ 比較的シンプル バイト管理が必要でやや複雑
採用例 BERT(初期)、従来型モデル GPT-2以降、現代の多くのLLM(GPT-4、Claudeなど)

ByteレベルBPEが重要になった背景

現代の大規模モデルでは、以下のニーズが高まっています。

  • 多言語対応(英語以外も含む)
  • 絵文字、記号、プログラムコードなど多様なテキストへの対応
  • 入力破損への耐性

これらに対応するため、文字ではなくバイトを単位に処理するByteレベルBPEが普及しました。
GPT-2、GPT-3、GPT-4などは、すべてこの手法をベースにしています。


まとめ

普通のBPE ByteレベルBPE
特徴 文字を単位に結合 バイトを単位に結合
メリット 実装が比較的簡単、英語中心なら有効 言語非依存、Unicode対応、壊れにくい
デメリット 言語ごとに前処理が必要、破損リスクあり バイト管理が必要で複雑になりがち

現代のNLPやLLM開発では、ByteレベルBPEがデファクトスタンダードになっています。

通りすがりのラマ🦙

このブログでは個人開発で得た知見や興味のあるテクノロジーに関する記事を執筆します。 日々公開されている情報に助けられているので、自分が得た知見も世の中に還元していければと思います。 解決できないバグに出会うと、草を食べます。🦙🌿 経歴: 情報工学部→日系SIer→外資系IT企業 興味: Webアプリケーション開発、Webデザイン、AI 趣味: 個人開発、テニス